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オオムラサキの mtDNA 塩基配列調査

酪農学園大学との共同研究

2007年に酪農学園大学酪農学部酪農学科で「小・中・高校教員との共同研究」の募集があることを知り、2007 年から3年間「生物学研究室(佐藤元昭教授)と札幌南高等学校との共同研究」を開始した。

共同研究テーマ

主題「札幌南高等学校林における昆虫相の検討」
2007 年度副題「ゴミムシ類の同定とオオムラサキ生息の地理的・ 歴史的可能性を探る」
2008 年度副題「道央圏に生息するオオムラサキの地理的・歴史的分布変化の検討」
2009 年度副題 2008年度副題と同じ

2008 年度からは家畜遺伝学研究室の上田淳修教授指導の下、PCR、シークエンサーによるオオムラサキの mtDNA 遺伝子の全長延期配列の解析を行い、Sasakia charonda と Sasakia charonda kuriyamaensis(亜種)の解析を終えた。
解析結果については、国立遺伝学研究所 DDBJ(DNA Data Bank of Japan)への登録が認められ 2010 年6月 3 日公開された。 全長塩基配列の登録はDDBJの他、 国立生物工学情報センター NCBI(National Center for Biotechnology Information:米国)、欧州バイオインフォマティクス研究所 ENA(European Nucleotide Archive: 欧州)で、世界的にも初の2エントリー同時公開となり、共同研究の目標の一つを達成することができた。


DDBJ での getentry 検索の Accession Number ID は 下記の通りである。
Sasakia charonda: AP011824
Sasakia charnda Kuriyamaensis: AP011825

共同研究終了後 、mt-DNA の D-loop 部位の研究継続のために 2010 年度~ 2014 年度の 4 年間、生物学研究室の研究生として在籍した。 研究課目は「北海道の道央圏に点在的に生息するオオムラサキの mtDNA 遺伝子の塩基配列における相同性の解析と地理的変位の研究」とし、学校林でのオオムラサキ放蝶のコンセンサスを得るための研究を継続し、学校林周辺に生息するオムラサキの近縁度の解析を行った。 中国大陸や全国のオオムラサキ 70個体分の D-loop 部位の塩基配列解析を完了して DDBJ への登録が認められ 2014 年 7 月 29 日に公開された。

Accessio Number ID = AB911623 ~ AB911692

データの閲覧方法

http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html にアクセスし、ID欄にAccession Number IDを入力して検索ボタンをクリックする。

Sasakia charonda と Sasakia charonda kuriyamaensis(亜種)

一般的にオオムラサキは、Sasakia charonda(Hewitson,[1863])といわれるが、北海道栗山町の夕張川沿いには後翅第2室の斑紋が異なるSasakia charonda kuriyamaensisと呼ばれる亜種が生息している。
この夕張川沿いのオオムラサキと、他の地域(学校林10㎞圏内、八剣山、藻岩山、浜益、山梨県北杜市)に生息しているオオムラサキの幼虫をそれぞれ羽化させて比較したところ、夕張川沿いのオオムラサキは後翅第2室の斑紋が他の地域とは全く異なるV字型の蝶が100%羽化したことを確認した。 山梨産は楕円型が多く、他の北海道産は若葉マーク型が多かった。

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