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オオムラサキの飼育と観察

自宅庭での繁殖実験

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箱崎氏が以前より自宅の庭木として植栽していたエゾエノキ苗木3本が、少数のオオムラサキ繁殖には十分な大きさになっていたため、ここでオオムラサキを実験的に繁殖させ、そのオオムラサキを生徒たちに観察させることとした。

プロジェクト初年度の2005年は、卵から成虫までの期間にわたって、それぞれの成長段階におけるオオムラサキの個体を、幼虫観察の授業の都度学校に持参し、生徒たちに観察させた。

しかし、このやり方では下記のような問題点があった。

  • 非常に手間がかかる
  • いつでも自由に生徒が観察することができない
  • 度重なる移動で幼虫が弱ってしまう
  • サナギの移動は、サナギが付着している葉ごと切り取らなければならず、その後のオオムラサキの生育に支障を来す

 

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飼育舎の設置

上記の問題点を克服するべく、2005年11月、箱崎氏の自宅からオオムラサキを飼育していた2本のエゾエノキを学校敷地内に移植し、翌2006年5月にはその移植木を覆う形で飼育舎を設置した。 これにより、2006年度以降の授業では、オオムラサキの観察に多くの時間を充てられるようになり、2011年度までその体制を継続することができた。

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エゾエノキの移植に際しては学校敷地内での植栽許可が必要であり、構内施設設備検討委員会に原案を提出し、全日制・定時制職員会議を経て、計画が進展することになった。

オオムラサキの観察

オオムラサキの幼虫はステージ毎に体色を変化させ、葉の色に同化する。 秋には越冬幼虫の観察を行った。 学校からの距離が遠いため生息地での越冬幼虫の探索は実現できなかったが、かわりに学校の視聴覚室やホールなどに落葉を運びこみ、その中から越冬幼虫を探しだす作業を行った。 見つけた幼虫は、輪郭を細線、コントラストは点描でスケッチし、時間をかけて細部まで観察できるようにした。

プロジェクトの2年目(2006 年度)以降に行った幼虫と蛹の観察は、はじめに飼育舎で個体をつかまえてから、教室でスケッチを行った (越冬幼虫の観察方法は 1 年目と同じ)。 飼育舎で幼虫や蛹を探したときは、生徒たちは一度見つけると次々と探しだせるようになり、蛹に触れるとブルブルと体を揺らして動くところは、生徒は予想していなかったので、かなり驚いたようであった。

生徒たちの感想文(原文のまま)

【越冬幼虫の観察】(2005 年度 2 学年)

・よくじっくり目をこらさないとわからないくらい葉と同色になり、同じ幼虫でも葉の色が少し違うと幼虫の色も違う。弱肉強食の動物世界であの小さく弱々しい幼虫が生きていくにはあの体の色が必要不可欠という事、小さく弱々しくても立派に生きているのだという事を学んだ。(男子)

・最初虫を見た時は、あんなに小さいし弱そうなイモ虫がなんで成長したらあんなにきれいになるのか不思議?けっこう自分の中でチョウに興味を持ったつもりです。(男子)

・オオムラサキの観察は、成虫と幼虫の見た目が全く違うことに驚きました。成虫は派手な見た目なのに対して幼虫は意外と地味な感じの色でした。〔中略〕幼虫は思っていたより動きまわっていて、葉っぱから幼虫がはみだしたりして捕まえるのが大変でした。(男子)

・やっぱり虫はきもかった。デモ、よく見ると、色を変えた NHK のキャラクターみたいで、ちょっとだけ可愛かった。観察はできるだけ手短に終わらせた。デモ1つだけ気になった。頭が両方にあるように見える。目もついてるように思える。先生が言うには、後ろから敵が来た時 正面とまちがって逃げるようにぢゃないのか?とゆうコトだった。…だとしたらこの子たちそうとう一生懸命生きてるんだなぁ。って思った。(女子)

・幼虫は落葉の色と同じでわかりづらく、しっかりと見ていないと見落としてしまうので大変でした。形やもようなどを見ると「あっこれだ!」とすぐにわかったり、まがった落葉の中に隠れていたりと少しおもしろいと思った。みんなと「あっいた!」と言ったり、 楽しく幼虫を探した。(女子)

・初め、落ち葉の中から落ち葉より少し色が薄い幼虫を探すことから始まった。白い大きな紙の上に葉が山積みに置かれ、その葉の一枚一枚、裏表を見ていき幼虫を探す。と言うよりは発掘?のような感じがした。発掘を始めて数秒「簡単に見つかるはず」と聞こえたが、なかなか見つからず自分の元に葉が溜ってきた時、一緒に発掘していた誰かが幼虫を見つけ、次々と虫は発見されていったが、葉っぱの量に比べれば幼虫の数は少ない。誰かが言った。「見逃したかもしれないからもう一度、探してみよう。」発掘作業は再開された。次はわんさ、わんさと虫は発見されていった。(女子)

・たくさんの葉の中から、葉の裏にいる幼虫を見つけだすことも初めてで、その作業は面白く、 枯れ葉と同系色で見つけにくいので、オオムラサキの幼虫を見つけた時は、少し嬉しかったです。幼虫は、葉の裏から見つけた時は、じっとおとなしくしていたのに、点描している最中に動きだし、活発になっていました。それは、温かい場所にいるからだと聞き、やはり寒い所では、じっとして春を待っているんだなぁ、と思いました。(女子)

【幼虫・蛹の観察】(2009 年度 1 学年)

・次はなんとオオムラサキの幼虫をつかまえてスケッチです。頭に幼虫が落ちてきたらどうしようかとか、さわりたくないとかでいっぱいだったけど、やっとの思いでつかまえた。スケッチするときにオオムラサキの幼虫をよく見たら、けっこうカワイイなと思いました。スケッチもめんどくさかったけど、スケッチをしたことにより、オオムラサキの幼虫に対する思いが変わったのでよかったと思います。(男子)

・幼虫の顔がかわいかった。蛹の方はかってに動きだしたりしてぶきみだった。スケッチでは幼虫の顔を書きたかったんだけどかってに下を向いて顔をかくことができなかった。みんなオオムラサキを見て平気できもちわるいとか言うけど人間と同じ生き物だから長生きしてほしいなと思った。(男子)

・幼虫を最初みたときは、 はきけがしたが、見ているうちに、かわいいなと思った。そしてサナギを見たときは、とてもおもしろくさわるとビクビクうごき、たのしかった。(男子)

・蛹は葉にくっついていて、触ったり振動させたりすると、身を守るように体を揺らして、生きようとする姿に感動しました。 僕は虫が大嫌いなんですが、少し大丈夫になった気がします。(男子)

・オオムラサキの幼虫を見て、緑色だったので、きれいだと思いました。蛹は、葉の上でブルブルと動いていたので、少し気持ち悪かったです。(男子)

・オオムラサキの幼虫と蛹をたくさんとりました。ポケモンそっくりでした。スケッチしたときは幼虫の顔はなんとなくすごい。(男子)

・はっきり言ってなまら気持ち悪かった。さなぎを見た時の感想は、「えだまめ」みたいでした。さわったり、揺らしたりしたら、ブルブル震えてなんだか愛着心がわきました。 幼虫の時は、絶対ムリです(汗)。ウニウニニ ュルニュルしてる感じで、はやくエダマメになってほしいです。スケッチは、先生にうまい! って言われてとても嬉しかったです。気持ち悪すぎだったけど、あんなに小さいのに、生きてるってすごいと思いました。あんなに小さいのに命があるなんてなんだか少し感動でした。(女子)

・オオムラサキの幼虫と蛹を取りに行くとき、先生に自分で入れ物にいれるんだよって言 われたけど先生に取ってもらった。取ってもらったのは幼虫だったけど段々見なれて来て最後には可愛く見えてきた。観察も、絵が下手な自分でも少しだけうまく(?)描けたしけっこう楽しかった。葉っぱに戻すのはできなかったけど、元気に育ってきれいな蝶々に育ってくれるといいな~と思った。今回のこともあって秋に植林に行くのがもっと楽しみになったかもしれない。(女子)

・私はオオムラサキの幼虫にさわるのに少し抵抗がありました。あまり虫が好きではなかったけど、自分の手に取ってよく見てみると少しだけ可愛く見えました。最初、幼虫が動かなかったので心配になり、息を軽くふきかけてみると、ちょっとだけ動いたので安心しました。スケッチをしている時、どうしても上手にかけなかったけど、幼虫に少しだけ近づけた気がしました。(女子)

・葉の上に乗っている幼虫は、緑色をして全く動きませんでしたが、目を離した間に黒い小さな塊が出ていたのに気付きました。後にそれが幼虫のフンだと分かりました。全く動かないのに、フンをするのには、少しおどろきました。〔中略〕私は、虫は苦手ですが、この幼虫たちがきれいな蝶に成長するのは、とても楽しみに思っています。(女子)

 

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